昨日は、杉並区で公益監察員(公益通報の窓口となり、公益通報について調査等を行います。)を務めさせていただいている関係で、同区の職員等を対象に行われた公益通報制度研修において、講演をさせていただく機会がありました。
公務員倫理とコンプライアンスというテーマで最近の民間企業の不祥事の事例も取りあげながら話しをさせていただきましたが、約50名の方に熱心に話しをきいていただき、時間をかけて準備を致しましたが、その甲斐があったと感じることができました。
最近の不祥事の事例では、偽装や改ざんなどの不正が行われたとする事例が目立ちます。東洋ゴム工業の防振ゴム性能偽装、横浜市のマンションの杭の堀削データ・セメント量のデータ改ざん、海外ではVW社に排ガス量を試験時だけ減らすソフトウェアが使われていた問題などです。いずれも未だ実態解明が十分なされていない問題ですが、組織的な問題であれ、個人的な問題であれ、動機としては、何か目先の小さなものを守ろうとして、より大きな重要な事柄に思いが十分に及ばず、安易な考えから講じた弥縫策(びぼうさく)として行われた行為なのかも知れません。
しかし、守ろうとしたものに比べて、結果として受ける社会的批判や損失は余りにも重大であり、そのあたりの想像力の欠如がこのような不祥事を招いているのではないかと思われます。技術や情報の流通など、企業や団体、個人などをとりまく環境はめまぐるしく発展していますが、それらを扱う人に余裕が無くなってきていることはないでしょうか。ゆっくり立ち止まって、想像力を働かせ、自分の頭で何が大切なことなのかを考えることを忘れないことが大切だと思います。